誰もいないはずの場所で …

今年は夏場にキャンプに行くことができなかったので、少し環境が落ち着いた10月初旬に友人と二人でキャンプに出かけることにしました。

 

友人とは元々ツーリング仲間ということもあり、少し肌寒い季節ではありましたが、バイクでツーリングがてら近場のオートサイトキャンプ場で一泊する計画に。

 

 

それぞれソロテントや寝袋、焚き火セットなどの最低限の持ち物と、一夜分の簡単な食事とお酒を積み込み、2時間ほどバイクを走らせて目的地に到着しました。

 

その日は平日且つ小雨予報ということもあり、オートサイトキャンプ場には自分たち二人と、父娘で来ている親子の二組だけがいる状態で、かなり広々とキャンプ場を使うことができました。

 

夕食の時間に水洗い場でもう一組の親子と少し話す機会があり、お互い久しぶりのキャンプでワクワクしますねなんて他愛もない話をして、またそれぞれのテントに戻っていきました。

 

 

娘はお父さんにぴったりひっついていて、将来は自分達もあんな仲良し親子でキャンプに来れたらいいななんて友人と言い合いました。

 

その日は星は見えないまでも結局雨も降らずに、夜遅くまで友人と語らい、深夜2時頃眠りにつきました。

 

翌朝、ちょうど朝ごはんの支度をしている際にまた親子連れのお父さんに会いました。

 

その時はお一人だったので

 

「娘さんはまだ寝てるんですか?」

 

と何気なく尋ねたところ、不思議そうな顔をして

 

「…一人ですよ?」

 

と答えました。

 

私は何か変なことを聞いてしまったかと思い

 

「すみません、昨日はぴったりくっついていたので。」

 

と伝えると、その男性の顔から血の気がサッと引き

 

「…女の子ですか?」

 

と聞かれました。

 

私もその瞬間、この会話のズレを理解しました。

 

私が答えないで沈黙していると

 

「…昨晩、小さな女の子がテントの中を覗き込んでくる夢をみました。はっきりとは思い出せないのですが、目が覚めてからもなんだか気味が悪くて…今のお兄さんの言葉でわかりました。昨日から私の…近くにずっといたんですね…」

 

そう言ってから、小さく会釈をしてその男性はその場を去りました。

 

後で友人にその話をしたら

 

「まだしばらくお前と二人でツーリングでいいかも」

 

とビビっていました。

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