私が高校に入学したばかりの頃、行方不明になった女子高校生がいました。
そのニュースは毎日のように取り上げられており
行方を探す続報などを見るのが日常になった頃
遺体が発見されたと報道されました。
被害者は私よりも2才年上で、通学路の途中に彼女の自宅があった事もあって
学校ではその話題で持ち切りでした。
他校の生徒だった事と、年代が違うこともあって面識はありませんでしたが
自宅が慌ただしく警察の車が停まっていたりと噂は流れ続けていました。
大人しい生徒だったという彼女が男子数人に連れ出され
隣町の山中に埋められたというショッキングな内容の事件です。
大人になると、もうその事件の事も忘れていて隣町で行われた
婚活パーティーに参加した時に急に思い出すことになったんです。
その婚活パーティーは、地元にお嫁さんを呼ぼうというコンセプトだったので
観光名所をバスで周りながら男性と話をしていくタイプでした。
海や山、学校を改築した宿泊施設などを巡り初日の出を見ることで
有名なスポットについたのは午後でした。
その頃は、キャンプ場もキレイな施設に変わっていて
併設する建物内には宿泊や食事をするスペースもあって
以前の印象とは全くの別物になっていたんです。
バーベキューだけを楽しむ事ができるという事もあって
家族連れや若い人にも人気になっていました。
そこから、海が見える場所まで地元男性二人組と移動しながら話をしていたら
「ここ、自殺の名所だったんだよね」
と言われて,そうだろうなと納得の断崖絶壁でした。
人が入れないように、柵をはってはいるけれど
乗り越えて歩いたであろう獣道が多数ありました。
その日は、晴天だったのに、急に雲行きが悪くなって暗く感じるほどでした。
他の参加者も寒さのせいか、誰も来ません。
「寒いね」
「誰も来ないね」
と戻る事にしたら向こう側から女の人がゆっくり歩いてくるのが見えました。
「あ、誰か来たよ。合流しよう」
と提案したものの男性二人はキョトンとしています。
私は、もう一度女性を見ようと振り返るとそこには誰もいませんでした。
そもそも、あんな暗い感じの人は参加していないし。
「見間違いかな?」
と誤魔化した私に
「もしかして見たの?〇〇さん?」
と殺人事件の被害者だった彼女の名前を言われたのです。
土地勘がなかった私だったので、その近くに埋められた山がある事も知りませんでした。
地元では、時々〇〇さんを見たという噂もあったようです。
私は怖くなって近くにあったベンチに座り込んでしまいました。
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