何年か前まで林間学校だった山奥でキャンプをしていたときの話です。
7月下旬の蒸し暑いときで、参加者は私と友人3人の合計4人。
来るときに山のふもとの事務所にいた若い女性の管理人さんから
「夜中に幽霊が出るって噂があるんです」
と冗談話を聞かされましたが、誰も本気にしていなかったのでそんな会話もすっかり忘れて男4人で夜中まで酒を飲んでワイワイ騒いでいました。
夜の12時頃でした。
テントの中で4人で寝ていると、友人Aと友人Bがトイレに行ってくると言ってテントから出て行きました。
彼らが戻ってきたら交代で私と友人Cがトイレに行くつもりだったのですが、しかしなかなか戻ってきません。
トイレは林間学校時代に使用されていた公衆トイレで徒歩5~6分くらいの場所にあり、テントよりさらに山の中にあります。
20分経っても戻ってきません。
「おかしいな?何かあったのかな?」
と思っていたところ、二人が興奮した様子で走って戻ってきました。
友人Aが言うにはトイレで用を足していたら、目の前にある窓の向こう側に幽霊が出たとのことでした。
白い服を着た性別不明の長髪の人が骨のような棒を口にくわえてこちら側をジッと見ていたそうです。
それで二人で走って逃げたそうです。
ちなみに友人Bもその幽霊を見たとのことでした。
そして幽霊を見て逃げたのは良いのですが逆方向に走ってしまってテントまで戻ってくるのが遅くなったとのこと。
とりあえず私と友人Cはテントの直ぐ近くで用を足し、もし何かあっても直ぐに対処できるように全員が枕元にナイフを置いて寝ることにしました。
でも私は彼らの話を信じていたわけではなく、きっと私達を恐がらせる為の冗談だと思っていました。
午前3時頃だったと思います。
何か変な音がするので友人3人を起こしました。
「バリバリ、バリバリバリ、バリバリバリバリ」
と何かを食べているような音がそんなに遠くない場所から聞こえてきました。
友人Aが
「あれはたぶん先ほど見た幽霊だと思う。骨を食べているんじゃないか。」
と言いました。
友人Bも同じことを言いました。
きっと幽霊が骨をしゃぶり、噛み砕いているのだと。
あまりに恐ろしくて4人で縮こまっていたのですが、無情にも骨をかみ砕く音が少しずつ近付いてきました。
さすがにテントの近くまでやって来たときはどうしようかと思いました。
もし見つかったら殺されるのではないかと思ったので全員が息を止め、感づかれないようにしました。
でもテントの外を見るだけの勇気はなく、そして飛びかかるだけの度胸もありませんでした。
幸いにもその後は音が遠ざかっていきました。
けれど結局夜が明けるまで眠ることができませんでした。
もう精神的にも肉体的にもヘトヘトだったのですが、もうこんな恐い場所にいたくないと思って急いでテントを片付けて車に乗って帰りました。
途中、前日に会話をした管理人さんがいたのでこの話をするとびっくりされていました。
全く同じ経験をした人が過去に何人もいるそうです。
聞くところによるとこのキャンプ場、以前は林間学校だったそうですがさらにその前の戦前は墓地だったそうです。
しかも土葬の…
骨をしゃぶる幽霊の噂は大昔から存在していたとのことで、この話を知って私達4人は青ざめました。
あのバリバリという音はやはり骨を噛み砕く音だったのだと。
そのキャンプ場、今はもう閉じてしまって行くことができません。
もう一度行くことができたとしても絶対に行きたいとは思いませんが、夏の夜の貴重な体験をさせてもらいとても良い勉強になりました。
この件以降はしっかり下調べをするようになり、いかにも幽霊が出そうなキャンプ場には行かないようにしています。
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